STORY
主人公・成嶋彰人(なるしまあきと)には、幼い頃に家を出て欧州へと渡った母がいる。
母が家を出たのは仕事ばかりで家族を顧みない父親のせいだ---
そんな思いを断ちきれず、彰人は大学入学を機に家を出た。
父の出した唯一の条件、お目付け役の弥彦を連れて。

一人暮らしをはじめて数ヶ月、ある日、町で見かけた外国語学校の宣伝チラシ。
彰人は漠然とした目的だが母との再開のためと、学校入学を決める。

その夜ひとり町へ繰り出した彰人は、町の外れで古い日本家屋を見つけた。
その庭にたたずむ人影。
彰人の目に映ったのはその家にはおよそ不釣り合いな若い外国人の男だった。

彰人と目が合うと、男は優雅に、にっこりと微笑みかける。
その妖艶さに、彰人はただならぬ妖気を感じて慌てて踵を返した。

なぜかそのときの光景が、男の妙に光る眼が忘れられない---。

そして外国語学校の初日、教室に現れたのはノエル・シドーと名乗るその男だった。
教室では明るくひょうきんで生徒みんなに好かれているノエルを見ていると
あの夜の光景は嘘だったのではないかと思えてくる。

しかしノエルは--------

なんと、吸血鬼だったのだ。

民俗学を研究する母との再会、ノエルの過去。
過去へ、現在へ、そして欧州と日本の間を行き来して
舞台は遠い隔たりを結んでいく。
そして不思議な糸の絡まりが少しずつ解かれていくように
彰人の心も--------------